基板を生産し、アセンブリの準備をする前に、製造業者の役に立つ一連のファイルを生成する必要があります。これらは基板設計の出力ファイルで、製造ファイル、製造工程の資料、アセンブリファイルなどとも呼ばれています。製作業者と実装業者は、PCBAを作成するために、異なる一連の出力ファイルを使用します。設計チームは製品の見積を出し、製造を開始する前にこれらのファイルを生成する必要があります。
設計ファイルをメールで製造業者に送信する前に、必要な製造工程の資料やアセンブリファイルのリストをまず入手してください。新しい設計者の方は、以下の基本的な基板製造ファイルをご確認ください。
以下は、一般的な基板製造用ファイルのリストです。このリストにあるすべてのファイルを、すべての製造業者に対して作成する必要はないかもしれませんが、どの製造業者でも設計したものを確実に製造できるよう、すべてのファイルを作成しておくと良いでしょう。
設計が製作や実装に入る前に、製作ファイルを送ってDFMのレビューや見積もりをしてもらう必要があります。製作業者はこのファイルを見て、設計されたものを自社で製造できるかを確認します。これには、より専門的なCAMソフトウェアが使用されます。CAMソフトウェアは、クリアランス、形状、配置間隔など、製造時に問題となる物理的デザインのあらゆる側面について、製造ファイルをチェックします。この段階では最もよく使用されるのがガーバーファイルですが、他の標準的な製作ファイル形式(ODB++やIPC-2581)を使用することもできます。
製作メモは、ベア基板を製作するために必要なその他のすべての情報を提供するためにも重要です。絶縁保護コーティング、表面仕上げ、使用される特定の材料(LPIソルダーマスクなど)、インピーダンス要件、スタックアップレイヤー/材料の仕様など、多くの項目がPCB製造図面に明記されています。完全かつ明確な製作メモがあれば、どの製造業者でもあなたの設計を具現化できるようになります。
また、設計に瑕疵がなく確実に製造できるかどうかを確認するために、実装業者に設計を確認してもらう必要があるかもしれません。実装図とBOMは基板の見積もりに使用され、ベア基板と部品が実装業者の元に届いた後、正確な実装を行うために使用されます。実装図には、この工程の役に立ち、製造上の曖昧さを排除するためのメモを記載してください。
製造現場で必要とされる追加データには、機械モデルや3D印刷、筐体のMCADデータなどが考えられます。必要なデータは、製造業者に要求されるサービスのレベルや作業範囲によって異なります。例えば、実装中に、ラジアルリードやアキシャルリードのコンデンサーを非常に特殊な向きで横に折り曲げる必要があるかもしれませんが、3D印刷やSTEPファイルを見れば、何が求められているかが一目瞭然です。
また、プレスフィットコネクタや圧着コネクタは、通常のPCB実装工程では適用されない、特殊な実装要件です。これらのコンポーネントに関する文書も提供する必要があります。実装図や具体的な要求事項を記載した文書が最適でしょう。不明な点がある場合や、新しい製造業者と作業している場合は、必ずこの情報を要求し、それに応じて正しいデータを提供してください。
資料がない場合や、重要な製作・実装要件が具体的に明記されていない場合、製造業者はほとんどの基本設計に適用できる「標準」手法や要件を採用する可能性が高くなります。表面のメッキ加工やソルダーマスクなどが気にならないのであれば、主要な製作ファイルだけを作成し、あとは製造業者に任せてしまいましょう。会社によってサービスのレベルは異なりますが、初めてのPCBA製造を成功させるために喜んで力を貸してくれるはずです。
従来、設計者は基板設計の出力ファイルや製造データを手作業で作成していたため、複数の設計書から情報をまとめ、最終的な成果物を手作業で作成する必要がありました。現在の設計ツールは、このデータパッケージを自動的に作成することができるので、時間を節約して設計をすばやく確認することができます。新しいプロジェクトを計画する際には、最適なCADツールを使用して、基板レイアウトをすばやく作成し、生産に向けて準備することができます。
基板レイアウトが完成し、設計図を余すとこなく確認したら、Altium Designer®で基板設計の出力ファイルを簡単に生成することができます。出力ジョブファイル機能では、プロジェクトに使える製造ファイルテンプレートを作成し、基板レイアウトや回路図データから一連のファイルをすばやく生成することができます。これらのファイルを製造業者に渡す準備ができたら、Altium 365®プラットフォームを使用することで、プロジェクトでのコラボレーションや共有が簡単になります。
ここでは、Altium 365 と Altium Designer で何が可能か、その一部を紹介したに過ぎません。ぜひ、Altium DesignerとAltium 365をご検討ください。Altium Designerの無償評価版をを今すぐ開始しましょう。