基板設計出力と製造ファイルの概要

Zachariah Peterson
|  投稿日 December 20, 2021  |  更新日 June 25, 2023
基板設計の出力ファイル

基板を生産し、アセンブリの準備をする前に、製造業者の役に立つ一連のファイルを生成する必要があります。これらは基板設計の出力ファイルで、製造ファイル、製造工程の資料、アセンブリファイルなどとも呼ばれています。製作業者と実装業者は、PCBAを作成するために、異なる一連の出力ファイルを使用します。設計チームは製品の見積を出し、製造を開始する前にこれらのファイルを生成する必要があります。

設計ファイルをメールで製造業者に送信する前に、必要な製造工程の資料やアセンブリファイルのリストをまず入手してください。新しい設計者の方は、以下の基本的な基板製造ファイルをご確認ください。

基板設計出力ファイルリスト

以下は、一般的な基板製造用ファイルのリストです。このリストにあるすべてのファイルを、すべての製造業者に対して作成する必要はないかもしれませんが、どの製造業者でも設計したものを確実に製造できるよう、すべてのファイルを作成しておくと良いでしょう。

  • 製作ファイル -ベア基板作成用のステンシルを作るために使用されるファイル形式には、Gerber RS-274-X/X2、IPC-2581、ODB++があります。NCドリルファイルは、ベア基板にドリル穴を開けるためのCNCドリルマシンをプログラムするために使用されます。
  • アセンブリファイル - アセンブリ時に特に必要となる2つの主要なファイルは、部品表(BOM)とpick-and-placeファイルです。どちらも、アセンブリ時に部品と配置を合わせるために使用されます。アセンブリ時に使用されるペーストマスクファイルは、製作ファイルと共に生成されます。
  • 印刷物と図面 - 製作図と実装図は、設計図のようなもので、豊富な情報が含まれています。通常はこの情報を見積書に記載しますが、製作図を作成することで、どのように基板を製作したいかをどの製作業者が正確に理解するのに役立ちます。
  • STEPファイルと3Dプリント - これらの2つのファイルを一緒に使うことで、実装業者は、標準外のパッケージを持つ一部のコンポーネントの方向を目で確認することができます。
  • テストポイントレポート - このファイルには、導通テストや、より具体的な回路内テストなど、電気測定用に指定された一連のノードが含まれています。
  • その他のファイル - 特定の製造業者から依頼される可能性のあるその他のファイルが含まれています。これらは、回路図、ネットリスト、メカニカルレイヤーのフォトプロットファイル(ガーバーファイルなど)、またはコメントやバックドリル要件を含むその他のレポートです。
  • バイナリとテスト用文書 - 大量生産の場合、一部の製品では、製造された各製品が完全に機能していることを確認するために、オンザラインでのバイナリのフラッシングとその後の機能テストが必要になることがあります。これらの要件は明確に指定される必要があります。また、自動機能テストを支援するためのテスト装置を提供する必要がある場合があります。

製作ファイルと各種資料から開始

設計が製作や実装に入る前に、製作ファイルを送ってDFMのレビューや見積もりをしてもらう必要があります。製作業者はこのファイルを見て、設計されたものを自社で製造できるかを確認します。これには、より専門的なCAMソフトウェアが使用されます。CAMソフトウェアは、クリアランス、形状、配置間隔など、製造時に問題となる物理的デザインのあらゆる側面について、製造ファイルをチェックします。この段階では最もよく使用されるのがガーバーファイルですが、他の標準的な製作ファイル形式(ODB++やIPC-2581)を使用することもできます。

基板設計の出力ファイル(ガーバーファイル)
製造業者は、基板が確実に製造できるよう、製作ファイル、特に各レイヤーの銅やマスクの特徴を確認します。

製作メモは、ベア基板を製作するために必要なその他のすべての情報を提供するためにも重要です。絶縁保護コーティング、表面仕上げ、使用される特定の材料(LPIソルダーマスクなど)、インピーダンス要件、スタックアップレイヤー/材料の仕様など、多くの項目がPCB製造図面に明記されています。完全かつ明確な製作メモがあれば、どの製造業者でもあなたの設計を具現化できるようになります。

また、設計に瑕疵がなく確実に製造できるかどうかを確認するために、実装業者に設計を確認してもらう必要があるかもしれません。実装図とBOMは基板の見積もりに使用され、ベア基板と部品が実装業者の元に届いた後、正確な実装を行うために使用されます。実装図には、この工程の役に立ち、製造上の曖昧さを排除するためのメモを記載してください。

追加の設計出力データ

製造現場で必要とされる追加データには、機械モデルや3D印刷、筐体のMCADデータなどが考えられます。必要なデータは、製造業者に要求されるサービスのレベルや作業範囲によって異なります。例えば、実装中に、ラジアルリードやアキシャルリードのコンデンサーを非常に特殊な向きで横に折り曲げる必要があるかもしれませんが、3D印刷やSTEPファイルを見れば、何が求められているかが一目瞭然です。

基板設計の出力ファイル(STEPファイル)
これらのコネクタの向きは、STEPファイルで簡単に示すことができます。これは、標準の基板設計出力ファイルに含めることができます。また、アセンブリレイヤーで適切なサイズのアウトラインに反映することもできます。

また、プレスフィットコネクタや圧着コネクタは、通常のPCB実装工程では適用されない、特殊な実装要件です。これらのコンポーネントに関する文書も提供する必要があります。実装図や具体的な要求事項を記載した文書が最適でしょう。不明な点がある場合や、新しい製造業者と作業している場合は、必ずこの情報を要求し、それに応じて正しいデータを提供してください。

資料がない場合や、重要な製作・実装要件が具体的に明記されていない場合、製造業者はほとんどの基本設計に適用できる「標準」手法や要件を採用する可能性が高くなります。表面のメッキ加工やソルダーマスクなどが気にならないのであれば、主要な製作ファイルだけを作成し、あとは製造業者に任せてしまいましょう。会社によってサービスのレベルは異なりますが、初めてのPCBA製造を成功させるために喜んで力を貸してくれるはずです。

概要

従来、設計者は基板設計の出力ファイルや製造データを手作業で作成していたため、複数の設計書から情報をまとめ、最終的な成果物を手作業で作成する必要がありました。現在の設計ツールは、このデータパッケージを自動的に作成することができるので、時間を節約して設計をすばやく確認することができます。新しいプロジェクトを計画する際には、最適なCADツールを使用して、基板レイアウトをすばやく作成し、生産に向けて準備することができます。

基板設計の出力ファイル
これは、Altium Designerで生成できる資料の簡易リストです。

基板レイアウトが完成し、設計図を余すとこなく確認したら、Altium Designer®で基板設計の出力ファイルを簡単に生成することができます。出力ジョブファイル機能では、プロジェクトに使える製造ファイルテンプレートを作成し、基板レイアウトや回路図データから一連のファイルをすばやく生成することができます。これらのファイルを製造業者に渡す準備ができたら、Altium 365®プラットフォームを使用することで、プロジェクトでのコラボレーションや共有が簡単になります。

ここでは、Altium 365 と Altium Designer で何が可能か、その一部を紹介したに過ぎません。ぜひ、Altium DesignerとAltium 365をご検討ください。Altium Designerの無償評価版をを今すぐ開始しましょう。

筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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