どのBGAパッドとファンアウト戦略があなたのPCBに適しているのか?

Zachariah Peterson
|  投稿日 2022/09/25, 日曜日
BGAファンアウトPCBルーティング

BGAパッケージには、大型プロセッサからメモリ、小型オーディオチップに至るまで、多くの高度なコンポーネントが配置されています。これらのパッケージには、コンポーネントの下にあるパッドに到達するためのファンアウトとエスケープルーティング戦略が必要であり、コンポーネントへのルーティングには制御インピーダンスが必要になる場合があります。このようなコンポーネントを扱っている場合は、BGAに正しくルーティングするために複数の点を考慮する必要があります。

この記事では、BGAにルーティングするために必要なファンアウト戦略と、ボールピッチが伝統的なドッグボーンファンアウトを使用するには小さすぎる場合について見ていきます。ランドパターンが十分に小さくなると、ビア・イン・パッドへの移行を行い、最終的にはレーザードリルビアへと移行し、HDIの領域に入ります。

BGAファンアウトオプション

PCB設計およびルーティングにおける「ファンアウト」という用語は、BGAコンポーネントのランドパターンからルーティングチャネルをブレイクアウトすることを指します。BGAの下でルーティングチャネルをブレイクアウトするための主な方法は2つあります:

  1. ドッグボーン・ファンアウト
  2. ビア・イン・パッド

大きなピッチではドッグボーン・ファンアウトを使用できますが、小さなピッチではビア・イン・パッドが必要です。ボールピッチに関して「大」と「小」の区別は明確ではありません。これは、BGAに入るトレース幅に依存します。BGAに入るトレース幅は、誘電体の厚さと誘電率から計算される制御インピーダンスの必要性に依存します。

ドッグボーン・ファンアウトに関連する別のファンアウトスタイルがあり、ここでは小さなパッドが45度未満の角度で分岐されます。これは、0.5mmから1mmのボールピッチを持つ中間範囲のBGAで見られますが、必ずしも必要ではありません。ドッグボーンとビア・イン・パッドのファンアウト、そしてエスケープ・ルーティングの基本概念をマスターできれば、これらの標準オプションから逸脱する他のファンアウト戦略もマスターできます。

ドッグボーン・ファンアウト

以下の画像は、BGAの下に配置されたドッグボーンファンアウトがどのように見えるかを示しています。この画像では、外側の2行/列のパッドグループを使用して、BGAの着地パッドに直接ルーティングすることができます。内側の行/列にある残りのパッドは、ビアを通じて内部層を介してアクセスする必要があります。その後、ビアはBGAのはんだパッドに再接続されます。技術的には、ドッグボーンは任意のBGAピッチに使用できますが、実際にはBGAピッチが0.5mmから0.75mmより大きい場合に使用されます。

BGA dog bone fanout

ドッグボーンファンアウトのパッド間を移動するには、トレースがパッド間を通過できるほど十分に細くなければならず、銅要素間のクリアランス制限を侵害しないようにする必要があります。銅要素間のクリアランス制限は、製造可能性と製造公差に基づいています。

では、トレースの幅はどれくらいあるべきでしょうか?下の状況を考えてみましょう。ここでは、トレースが2つの銅パッドの間をルーティングされています。これらは、上層の外側2行/列にあるBGAパッド、または内部層のビア上の非機能パッドである可能性があります。幅Wのトレースが、与えられたパッド直径Dと間隔dのこれら2つの要素の間をルーティングされています。

BGA trace width

超えてはならない製造限界fがあるため、条件d > fを満たさなければなりません。この条件を使用してトレース幅の上限を求めることができます:

BGA trace width calculation

この結果は理にかなっています:ピッチが大きいほど幅も大きくなりますが、製造限界とパッド直径が大きい場合は、トレース幅を小さくしなければなりません。この値を使用して、PCBスタックアップで使用すべき誘電体の厚さを決定できます。接続先がインピーダンス制御されていない場合は、パッド/ビア間を通過するのに必要な幅にトレースをサイズ調整してください。内部層では、ファンアウトパターンでビア間にトレースを通すために、内層の非機能パッドを除去する必要があるかもしれません。

ビア・イン・パッドに移行するタイミング

この質問は、フットプリントの設計とは全く関係がなく、ドッグボーンファンアウトでボールの間にパッドを配置できるかどうかに基づいています。ボール密度が非常に高くなり、パッドピッチが0.5 mmに近づくと、ドリルサイズを8ミル以下に減らさない限り、ドッグボーンファンアウトは使用できなくなります。正確な移行限界は、使用できる最小のドリルサイズと、クラス2またはクラス3のコンプライアンスに必要なパッドサイズなど、必要なパッドサイズに依存します。

ファインピッチの場合、BGAパッドはビア・イン・パッド技術を使用して内部信号層に接続でき、上記のトレース幅の計算が適用されます。BGAパッドが直接ビア上に配置される場合、はんだボールがビアに吸い込まれるのを防ぐために、ビアは充填されてメッキ処理されます。ビアの内部とメッキの間に最も強固な結合を確保するために、導電性または非導電性のエポキシでこれらのビアを充填することが最善の方法です。高い信頼性が求められる場合は、特定の運用条件に最適な充填タイプを推奨するか、製造業者に確認してください。

 

SMD対NSMD BGAパッド

BGAのランディングパッドは、ピッチの機能として設計される必要があり、正しいはんだマスク開口部で設計される必要があります。ランドパターンを設計する際には、BGAの下の各ランディングパッド上で受け入れられるはんだが蓄積され、結合するために、ある最小量の銅が露出している必要があります。銅パッドの直径をBGAボールサイズの約80%に設定するという経験則がありますが、以下のリンクされた記事では、BGAパッドサイズがどれくらい大きくあるべきかについて、より具体的な数字を提供しています。

PCBのBGAランドパターンを設計するために使用できるパッドには、2種類あります。はんだマスク定義(SMD)パッドは、パッドの端に少量のはんだマスクを塗布します。これにより、BGAランドパターン内のパッドサイズが実質的に減少し、はんだボールがパッドの上に乗るようになります。この薄いはんだマスクのリングは、はんだボールがはんだ抵抗の上にわずかにカーブするように持ち上げる傾向があります。

SMDパッドを使用する他の2つの利点は次のとおりです:

  1. マスクの開口部は、はんだ付け中に各BGAのボールがパッドと整列するためのチャネルを作ります。
  2. 重なり合うマスクは、熱的または機械的ストレスによってパッドがPCBから剥がれるのを防ぐのに役立ちます。

これらは信頼性の観点から有用です。これらのパッドは、ルーティングのための十分なスペースがある限り、大きなピッチのBGAに対しても問題ありません。誘電体の厚さに基づいてトレースのサイズを正しく設定した場合、SMDパッドを使用してもBGAのボールの間をルーティングできます。これを非はんだマスク定義(NSMD)パッドと比較してみましょう。NSMDパッドは、はんだ付けのためにパッド内の全ての銅領域を露出させます。言い換えると、はんだマスクの開口部は少なくともパッドと同じ大きさであり、それ以上の大きさになることもあります。PCBレイアウトにBGAパッドのどちらかのタイプを配置する前に、常にコンポーネントのデータシートを確認してください。

 

ファンアウトを定義したら、BGAパッドを外部トレースに接続するためにエスケープルーティングが使用されます。これは、PCB上の他のコンポーネントに接続します。BGAからのルーティングは、必要なトレースをすべて収めるために通常、複数の層を必要とします。1つのPCB層は、BGAの端にある2行分の正方形をルーティングするのに十分です。BGAのさらに深い次の2行分の正方形は、独自のシグナル層を必要とします。BGAの内部に移動するにつれて、このパターンが繰り返され、PCBにはさらに多くのシグナル層を追加する必要があります。

ピン数が多くピッチが細かいBGAでは、BGAにルーティングする際にトレース幅を調整する必要があるかもしれません。この技術は「ネッキング」または「ネックダウン」と呼ばれ、BGAに入る際にトレース幅を縮小します。トレースの途中で幅が変わると、トレースのネックダウンがRFテーパーとして完全にサイズされていない限り、特性インピーダンスの不連続が生じます。低速または低周波数のデバイスでは、トレースが十分に短ければ、そのネックダウン領域の入力インピーダンスはおそらく無視できます。これは、ネッキングを避けるために、一部のBGAがBGAフットプリントの端に制御インピーダンスインターフェースを配置する理由の1つです。

制御インピーダンスが必要な場合は、BGAに入る際にネッキングが不要となるように、トレース幅が十分に小さくなるようなスタックアップ材料を選択することに注目すべきです。材料のスタックアップが常に高速ルーティングをBGAに収容できるように選択されているわけではないため、これについてもうすぐ別の記事を公開します。

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筆者について

筆者について

Zachariah Petersonは、学界と産業界に広範な技術的経歴を持っています。PCB業界で働く前は、ポートランド州立大学で教鞭をとっていました。化学吸着ガスセンサーの研究で物理学修士号、ランダムレーザー理論と安定性に関する研究で応用物理学博士号を取得しました。科学研究の経歴は、ナノ粒子レーザー、電子および光電子半導体デバイス、環境システム、財務分析など多岐に渡っています。彼の研究成果は、いくつかの論文審査のある専門誌や会議議事録に掲載されています。また、さまざまな企業を対象に、PCB設計に関する技術系ブログ記事を何百も書いています。Zachariahは、PCB業界の他の企業と協力し、設計、および研究サービスを提供しています。IEEE Photonics Society、およびアメリカ物理学会の会員でもあります。

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